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【令和の重大事件2】農水省事務次官息子刺殺事件 ~長男に手をかけたエリート官僚の苦悩~

シリーズ令和の衝撃事件2:農水次官息子刺殺事件

令和元年(2019年)6月1日(土)

エリート官僚による息子刺殺事件

事件は土曜日の昼下がり、練馬の住宅で起こりました。死亡したのは44歳の無職男性。男性を刺したのはかつて農林水産省において事務次官まで勤め上げた父親。同じ週には中年引きこもり男性による無差別殺人事件も起きたばかり。詳細が報じられるにつれ、父親への同情論も集まりました。

事件について

令和元年6月1日15時過ぎ、練馬区早宮4丁目の住宅から「息子を刺し殺した」と110番通報が入りました。警察は元農林水産省事務次官、熊沢英昭容疑者(76)を現行犯逮捕。死亡したのは44歳の長男英一郎さんで搬送先の病院で死亡が確認されました。

 

熊沢家は英昭夫妻と長男英一郎さんの3人暮らし。妻は外出中でした。

当時、隣接する早宮小学校では運動会が行われており、英一郎さんは運動会の音に「うるさい」「ぶっ殺す」と腹を立てはじめ、英昭容疑者と口論になったといいます。

 

かねてから英一郎さんの暴力に悩まされていた英昭容疑者の脳裏によぎったのは、4日前に川崎で起きた中年引きこもり男性によるカリタス小学校を狙った殺傷事件。チェコの大使を務めたこともある英昭容疑者にとり、在ミャンマー日本大使館に赴任経験のある若き外務官僚が犠牲になった川崎殺傷事件は、身近な問題として胸に刺さったのかもしれません。

 

英一郎さんからの暴力に自分たちの身が危ないと感じていた英昭容疑者は「怒りの矛先が子どもに向いてはいけない」「周囲に迷惑を掛けてはいけない」とも考え殺害を決行。その刺し傷は十数カ所にも及びました。英一郎さんの遺体に防御創はなく無防備な状態を狙ったとみられています。

 

 

 

熊澤英昭容疑者

逮捕された熊澤英昭容疑者は選りすぐりのキャリア官僚の中でも頂点を極める事務次官にまで上り詰めた人物。その経歴は輝かしいものでした。

  • 1943年生まれ 逮捕時76歳
  • 岐阜県可児市出身
  • 東京大学法学部卒
  • 1967年農林水産省入省
  • 2001年~2002年事務次官
  • 2004年農協共済総合研究所理事長、全国米穀取引価格形成センター会長
  • 2005年~2008年チェコ駐箚特命全権大使

 

まばゆいばかりの経歴の一方、家庭内には問題も生じていたようです。熊沢容疑者の子供は男女1人ずつ。2人とも離れて暮らしていましたが、5月に実家に戻ってきた長男英一郎さんから暴力を振るわれ、逮捕時には父英昭容疑者の体にもアザがみられたということです。

 

熊沢容疑者は事件の6日前に暴行を受けた際、次に暴力を振るわれたら英一郎さんに危害を加える旨を妻に話していたといい、殺意をほのめかすメモも残っていました。英一郎さんからの暴行に身の危険を感じ「刺さなければ殺されていた」との供述もありました。

農水省で部下として仕事をした元幹部の男性(68)は「思い詰めて自分で結末をつけなければいけないと思ったのか」と語りました。

 

事件後の供述で「長男を殺し自分も死のうと思った」と語った熊沢容疑者。保釈申請が却下されたのも自殺防止の側面があったのかもしれません。。

 

 

 

長男 熊澤英一郎さん

長男の英一郎さんは1975年3月生まれで駒場東邦中高を卒業。名門校にあって一人大学に進学せず専門学校の代々木アニメーション学院に通ったといいます。ゲームやイラストなどに関心を寄せ、人気ゲームドラゴンクエスト10の有名ゲーマー「神崎弘海」として界隈で知られた人物でした。

 

恵まれた環境に育った英一郎さんに働いていた形跡はないものの、金銭的には不自由なく暮らしていたようです。ツイッターには裕福な暮らしぶりを思わせる投稿が度々見受けられました。

 

英一郎さんは、人間関係にトラブルを抱えたストレスからか、中学の頃から母親に暴力を振るうようになっていたといいます。一人暮らしをしていた3億円とも言われる豪邸で近隣トラブルを起こし、5月25日から実家で暮らすようになった英一郎さんは、引越し翌日の26日も「俺の人生は何なんだ」と叫びながら英昭容疑者に激しい暴行を加えたといいます。

 

英一郎さんは台湾人留学生から軍隊式暗殺八極拳を習得。カツアゲ犯3人を撃退したこともあるといい、英昭容疑者への暴行も素人の域を超えていたのかもしれません。

 

英昭容疑者に暴行をはたらく一方で、エリート官僚である父のことを大変誇りに感じていたと思われる英一郎さんは、ツイッターなどで度々父のことを自慢していました。

 

しかし、実母については度々蔑んだツイートを残し、暴力的な顔を垣間見せています。

 

誇れる人物を父に持つ英一郎さんですが、驚くべきことに大臣に次ぐ地位にあった父をコミケに駆り出し、同人誌販売を手伝わせていたといいます。

 

ドラゴンクエスト10に熱中していた英一郎さん、ゲームの最中に悲劇は起こったのでしょうか、その死が報じられてもなおドラクエにはログインしたまま。英一郎さんの分身『ステラ神』はゲーム内で立ったまま動かなくなり、蘇生の呪文『ザオラル』が次々とかけられ、隣に棺桶が置かれたといいます。

 

約8年間に36,811個ものツイートを残していた英一郎さん。2016年の6月には「2019年4月に死亡」という予言めいた診断に絶句するつぶやきが残されています。そして期せずして最後のツイートになってしまったのは「誰も一人では生きられない」という意味深い言葉でした。

 

 

 

巻き起こった世論

この事件では英一郎さんの言動から英昭容疑者を擁護する声も多く聞かれました。

また4日前に起きた50代の引きこもり男性による川崎殺傷事件と併せ、中年の引きこもりと同居する高齢親の「4070問題」「5080問題」への議論が巻き起こりました。

逮捕後

6月3日に送検され殺人罪で起訴された熊澤容疑者。6月21日東京地裁に保釈を請求していましたが、26日却下されました。

今後の裁判ではどのような判決が下されるのでしょうか。注目していきたいと思います。

 

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