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【令和の重大事件3】大阪警官襲撃拳銃強奪事件 ~エリート一家に産まれた男に聞こえた心臓からの声~

シリーズ令和の衝撃事件3:大阪警官襲撃拳銃強奪事件

令和元年(2019年)6月16日(日)

エリート一家に産まれた男のラガーマン警官襲撃

G20主要国首脳会議を3週間後に控え警戒が続く大阪の街。警官を刃物で襲撃し拳銃を奪って逃走した容疑者は日曜の大阪を恐怖に陥れました。逮捕されたのは高校まで大阪で過ごした東京在住の男。ラグビー選手だった警察官は生死の境を彷徨いながらも一命をとりとめました。

 

事件について

6月16日早朝5時30分頃「室内が荒らされていた」「警察官2人くらいできてほしい」という110番通報を受け、近くの千里山交番から警察官2人が出動。交番で一人になった古瀬鈴之佑巡査が30歳くらいの男に襲われました。派出所近くでは事件の1時間ほど前から不審な男がうろつく姿を防犯カメラが捉えていました。

 

事件を目撃した人たちが近くの阪急千里線千里山駅に駆け込み、駅員が通報。古瀬巡査は仰向けで左胸が血だらけになり包丁が刺さった状態でした。交番の前には白いバイクが倒れ、同僚警察官が「もうすぐ応援来るからがんばれよ」と声をかけていたといいます。


古瀬巡査は病院に搬送されましたが複数回に渡って体を刺され意識不明の重体。拳銃は
強奪防止用の金具のフックが外され、数発の弾が入った状態で奪われていました。近年、拳銃入れは奪われにくいように改良されていますが、古瀬巡査が身に着けていたのは改良前の旧型のものでした。

 

拳銃を奪った男は逃走。朝9時ごろに市内のイオン北千里店から「右手に血の付いた男の人が服を買いに来た」と110番通報が入りました。男は服や靴など9千円ほど購入。買い物の際不要とした靴箱からは、交番前に落ちていた包丁のパッケージについていたものと同じ指紋が検出されます。その後、ホームセンターのコーナンなど複数の商業施設で充電器や虫よけなどを購入した容疑者。逮捕当時の所持金は約10万円でした。山中潜伏など長期間逃走する準備をしていたようです。

 

警察はイオンで目撃された男が警官襲撃の犯人と見て画像を公開。通報を呼びかけました。

 

手配画像を見た父親や宿泊していたホテルからの通報が決め手となり、警察は東京都に住む30代の男の犯行とみて逮捕状を請求。

 

街を歩く犯人の姿を捉えた複数の防犯カメラ映像から足取りを追った警察は、男の居場所を箕面の山中に定め、夜明けを待って身柄を確保。ここは西川きよしヘレン邸から500メートルの場所だといいます。

 

4発の実弾が入った拳銃はポリ袋に入れられ、1発発射された形跡があるものの被害はありませんでした。

 

逮捕されたのは飯森裕次郎容疑者33歳。東京都に住む容疑者は事件の3日前から大阪を訪れていましたが、宿泊していた南千里クリスタルホテルにチェックインする際は住所を偽っていました。

 

犯人 飯森裕次郎容疑者

犯人の飯森裕次郎は品川区在住の33歳。小学生のときに川崎市から吹田市に転居し高校卒業までを吹田市で過ごします。子供の頃は明るく人気者だった飯森容疑者。高校の卒業アルバムにも好感を持たれそうな姿を残しています。

 

駒澤大学に進学してからは家族とともに東京で暮らし、大卒後は海上自衛隊や岩手めんこいテレビの関連会社などに勤務したもののいずれもすぐに退職。昨秋から障害者雇用枠で採用された大田区のゴルフ練習場アコーディア・ガーデン東京ベイでアルバイトとして勤務していました。飯森容疑者は2級の精神障害者保健福祉手帳を持っているということです。

 

飯森容疑者は犯行について「私のやったことではありません。私が思うのは病気がひどくなったせいです。周りの人がひどくなったせいです」と供述。容疑を否認しました。

 

事件の5年前には、警視庁品川署を訪れ「ドラゴンクエストのゲームをやめたら心臓から声が聞こえて困っている。昔住んでいた吹田市の人たちの声です」「友達や小学校の先生、自衛隊にいたことがあるがそのときの同僚の声などが聞こえる」「心臓の中を確認してもらうことはできますか?」と訴え、警察官から診察を薦められたといいます。容疑者の中に巣食う何かに支配されていたのかもしれません。

 

事件の前、飯森容疑者はFacebookを通じて吹田時代の友人約50人に連絡をとり、年賀状を出すからなど季節はずれな口実で住所を聞き出そうとしていたといいます。SNSではアカウントの乗っ取りによる詐欺被害も多々あるほか、昔の同級生からの突然の連絡には宗教や選挙、マルチ商法の勧誘などの場合もあるせいか、住所を教えてくれなかったり返信をくれなかった同級生も少なからずいたようです。

 

そんな同級生の一人が、泥棒被害を装う嘘の110番で飯森容疑者に実家の住所を使われてしまった男性。防犯カメラの画像を見せられ、刑事から『あんたの息子やろ』と問いつめられた男性の母は、突然の出来事にパニックになり『うちの息子や』と口走ってしまったといいます。兄弟で疑われてしまったこの男性に、なぜ自分の名前が使われてしまったのか心当たりはないということです。

 

反応の思わしくない同級生に業を煮やしたのでしょうか。吹田の友人たちへの恨みが事件の引き金になったとも言われています。

 

容疑者逮捕のきっかけは、手配写真を目にした父からの「息子に似ている」との通報。ニュースに目を向け、写真によって印象がまったく異なる容疑者を的確に息子と判断し、すぐ警察に届ける、という逐一適切な対応を取った知的さと鋭さが伺える父親。さすがというべきでしょうか。その職業は在阪テレビ局の常務であることが判明しました。

 

父親はすぐに立場を明らかにし事件を謝罪。自局の報道番組でも事件を扱い、メディアとしての責任を果たすという社からのコメントが読み上げられました。

 

関西テレビの常務といえば西の女帝上沼恵美子さんの夫も務めたポジション。会長・社長に次ぐナンバー3の地位にあります。折りしも事件3日後に株主総会を控え、常務を続投する予定だった容疑者の父。父親は関係ない。続けるべきだ。との世論も多い中、退任することが発表されました。なお、父親は顧問として社に残ることになっています。

 

準キー局の要職にある父を持つ容疑者。母は元女子アナ、兄は大手広告代理店H堂のメディア部門の別会社に在職し、中部支社に勤務しているといいます。H堂では分社化されているメディア部門ですが、電通・ADKなどの同業他社では同じ会社の一部署として機能。H堂でも人事異動により両社の人的交流が頻繁に行われ、同一部署に社員が混在することは日常茶飯事。実質同じ会社と見てよいでしょう。メディア部門は平たく言えばテレビ局、ラジオ局、新聞社、出版社、IT企業などから広告枠を買う仕事。テレビ局の営業部門とは密接な付き合いがあり、その子弟も業界に多く存在します。

被害者 古瀬鈴之佑巡査

襲撃されたのは大阪府警吹田署千里山交番に勤務する古瀬鈴之佑巡査26歳。腕や脚など計7カ所を刺され、うち1カ所は心臓にまで達し、肺の一部を摘出する重傷を負いました。

 

古瀬巡査は佐賀工業高校から東海大学に進学。花園にも出場し大学ラグビーでも活躍したラガーマン。佐賀工の先輩にあたるラグビー日本代表の五郎丸選手は激励の言葉をツイッターに投稿しました。

 

古瀬巡査と一緒に汗を流した仲間も含まれるラグビー日本代表チームは、合宿先の宮崎からビデオでエールを送りました。サイン入りの代表ジャージも贈られるといいます。

 

古瀬巡査には派出所近くの関西大学ラグビー部や大阪学院大高校、大阪府知事からも回復を願う声が寄せられています。

 

日本中の祈りが届いたのでしょうか。ラグビーで鍛えた強靭な肉体を持つ古瀬巡査に回復の兆しが見え始めました。呼びかけに応じ、手を握り返すまでになったといいます。

 

 

7月6日には父・古瀬信広さんが母校を訪れ感謝の意を伝えました。意識回復直後は「怖い」「早く大阪を出たい」と語っていたという古瀬巡査ですが、気持ちも前向きになってきたといいます。

 

7月12日には応援してくれたラグビー日本代表にもお礼の電話を入れるまでに回復しました。

 

恐怖におびえた大阪の街 

警官を刺して拳銃を奪い逃走した容疑者。凶悪な事件を起こした恐ろしい犯人の標的になる恐怖に日曜の大阪の街は震撼とし、現場近くの関西大学では予定していたオープンキャンパスを中止。ファミリーマート阪急千里山駅前店は臨時休業するなど近隣の施設の閉鎖やイベントの中止が相次ぎ、翌月曜日の学校も自宅待機が検討されました。

事件の余波

吹田警察署前では、殺到した取材陣に植え込みが踏み荒らされるというトラブルも起こり、地元住民から怒りの声も聞こえました。

 

令和の事件の驚くべき共通項

令和に入り立て続けに起きた「川崎殺傷」「練馬事務次官息子殺害」「大阪警官襲撃拳銃強奪」という3つの重大事件。3事件の鍵を握るのはいずれも定職に就かない中年独身男性たち。そして「ドラゴンクエスト」という共通の趣味がありました。

今回の大阪事件では「ドラクエをやめたら心臓から声が聞こえて困っている」という発言が注目を集め、練馬事件では殺害された息子がドラクエ10に熱中。川崎事件では携帯もパソコンも持たない容疑者の部屋にドラクエが残されていたことがわかっています。

ドラクエユーザーへの偏見も起こり、とんだ風評被害にさらされてしまいました。

 

そして練馬・大阪両事件には父親がエリートという共通項もありました。

川崎事件では子供を私立小に通わせる家庭に引き取られながら、公立に通い高校にも進学しなかった犯人が、かつていとこ達が通った私立小を襲撃の標的に。

3事件に共通するのは比較的裕福な家庭が抱える闇。貧困、DQN、早婚といわれる層の引き起こす犯罪が後を絶たなかった平成の時代と対照的なこれらの事件は、新しい令和の時代に何を示唆しているのでしょうか。これからもその答え探しはつづきます。

 

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